ツッコミやすかったおすすめ映画

「ミッドサマー」ツッコミレビュー・ずっと真顔になってドン引きする映画だよ

2020-03-178点以上,ホラー,サスペンス2020

日本公開日: 2020年
監督: アリ・アスター

すこ度(評価)

8/10

-淡々と演出する上質な日常カルトホラー-

グロ・アダルト表現あり。お子さんと一緒に見ると変な性癖が目覚めるので注意

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あらすじ

長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。ダニー役を「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピューが演じるほか、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー、「パターソン」のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、「レヴェナント 蘇えりし者」のウィル・ポールターらが顔をそろえる。

https://eiga.com/movie/91493/

ネタバレなしレビュー

この映画はやべぇぞ…オラ意気消沈すっぞ…。
お決まりの流れをくむとても明快なカルトホラー映画
監督は「ヘレディタリー」でたくさんの嫌な人間たちを教えてくれたアリ・アスター。そういうのもあってとても注目度が高いようです。
最初に言っておくとやばい宗教を題材とした映画としてとても面白くて引き込まれます、が
とてつもなく人を選ぶと思います。メンヘラは見ちゃだめ!ゼッタイ!


設定から展開までどこをどうみても幸せになる人がいないであろう事が予想できるため、すっきり感とかを求めてはいけない(戒め)。
でもホラー映画好きは定番の流れが見れるので楽しめる。
あと主人公の友人がハライチの岩井に似てる。(見た後気になってハライチの漫才を検索した)

いわゆるオカルト・超常現象系ホラーではないので、どちらかというとサスペンス系の映画とも言えるしドキュメントとも言える。
宗教ホラー映画だと「サクラメント 死の楽園」とかが記憶に残っていますが、新興宗教的な怖さではなくてもはやそういう時代の村に異世界転生したような感覚になります。


というのも劇中に出てくるのは古代ルーン文字(古代北欧の文字)だったり北欧神話ベースだったり古くから伝わり続けているような風習だからです。
実は邦題は「ミッドサマー」ですけどsummer じゃなくてsommerなんですよね。スウェーデン語だとかなんとか。
よくわからない解釈や教えを説くのではなく昔からこうだから、とあくまでそれが当たり前だと思わせる空気感がとてもひんやり。

村の至るところにルーン文字があります

ホラーにありがちなパリピ大学生が旅行でみたいなノリの導入に思えますが、実際「お前らほんとに大学生か?」と思うぐらい冷静だったりパニックも少なく普通に地獄の沼に自ら沈んでいきます。
しかもどの大学生も自分の欲望に忠実でしたいことしてやるぜ!な心持ちなのでトラブルを起こし、フラグを立てて死んでいく選手権にすら見えます

予告映像やあらすじではかなりさらっと書かれていますが、オープニングから5分ほどで主人公の家族全滅のクッソ鬱展開です。オープニングでここまで重いのは初めて見ました。
そこからホラーお決まりの学生だけで僻地へ旅行という、まるで老人ドライバープリウスのF1レースコース上で大の字で寝る、並の死亡フラグをぶち決めて来るのであっぱれ。

あとこの映画の面白いところはほどんど明るい場面ばかりということ。
白夜の設定なので暗さで怖がらせるようなところはほぼなく、妖精さんが出てきそうな雰囲気でエグい事が起こり続けるのが印象的でした。

監督はアメリカ出身なのにこの映画からはかなりヨーロッパ映画の陰鬱さと冷たさを感じます。
舞台がスウェーデンだからかもしれませんが淡々と狂ってる世界を芸術的に表現しているので、不条理と不幸が絡み合う北欧映画好きに強くおすすめします。
テーマやストーリーよりも雰囲気を楽しめる人は見ましょう。
自分は不条理な映画が好きなのでこの点数にしました。

ネタバレありストーリー&ツッコミ

Midsommar
https://www.youtube.com/watch?v=tnzDJZKc6zg

主要人物

キャストこんな人
ダニー・アルドール: 
フローレンス・ピュー
主人公・メンヘラ女
クリスチャン・ヒューズ: 
ジャック・レイナー
ダニーの彼氏・ダニーの左の男
ジョシュ: 
ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
黒人・論文への情熱あり
マーク:
ウィル・ポールター
ハライチの岩井似・クリスの左・おしっこ
ペレ: 
ヴィルヘルム・ブロングレン
村出身で招待した・一番右・怪しいジョンレノン

大まかなストーリー

村に到着

あまりにも長いので抜粋しつつツッコんでいきます。
ちなみに冒頭から明らかにダニーは依存型のメンヘラです。
まず開始数分で主人公ダニーの両親が、ダニーの妹の自殺に巻き込まれ死亡します。聞こえましたか?ダニーの家族が死亡します
しかも車から排気ガス部屋に入れて両親道連れてアンタ…あたしゃ悲しいよ!

そんな感じで凹むダニーと別れたいけどタイミングを失った彼氏のクリス。
そして彼らと友人の3人で、友人の一人ペレの提案で彼の故郷でやるというお祭りに参加しに行きます 。
ホラー映画だとお約束の導入ですね。君たちホラー映画みてないの?死ぬぜ?

Midsommar
https://www.youtube.com/watch?v=tnzDJZKc6zg

村の手前についてここでペレのいとこだかなんだかに出会い挨拶、いとこもカップルの友達を招待して連れてきていたよう。親愛の印に速攻マジックマッシュルームをキメるダニー達。
海外の若者すぐにトリップしすぎじゃないですか?
なんかタピオカミルクティーみたいなノリで飲んでましたけど。


その後村に到着し観光。ここでは色んな所にルーンが記されていたり、寝る場所には意味深な絵画(明らかに生贄にしてる感じのやつ)がたくさんあったり。
ここまではまだそんなに異常ではないにせよ完全に古の文明といった感じ。

でも言い伝えの絵みたいなところで、女性が意中の人に陰毛と体液を飲食物に混ぜると恋が叶う!みたいな案の定気味が悪いシーン登場。
ほかにも子どもたちに「ここでは何して遊ぶの?」と聞いたところ「バカの皮を剥ぐのさ!!」とよくわからない返答が…。 もちろん伏線ですね。
ジョシュは論文の為興味津々ですがちょっと不気味がるメンバー。
次の日儀式があるようで見学することにします。

儀式はじめました☆

お待ちかねの儀式の日マーク(ハラ岩)は面倒だから欠席するようで、4人と知り合ったカップルたちと儀式の場に向かいました。
なにやら切り立った岩場に人が集まります。
そこに二人の老齢の男女がナイフで手を切られ石にぺたぺた。
何が始まるんです!!とワクワクな一行を尻目に切り立った岩場の上に立つ老婆。
次の瞬間…

Midsommar
https://www.youtube.com/watch?v=tnzDJZKc6zg

これ滑空してるようにみえるでしょ?

実はね…落ちてるんです これがホントの「バ(バ)ンジージャンプ」なんつってw。
冗談も言えないぐらいいきなり飛び降りる老婆に固まる一行。もちろん高所の下には硬い地面しかなく死亡。

もう楽しい旅行は終わりだよ!カルトへようこそ!!
とこの時監督に言われたような気がする。

さすがにびびるメンバー達、さらに今度は男性の方も崖の上にから飛び降ります。
何故か足から飛び降りたので足が折れただけで死んでいません。
そこにすかさず村人たちが木槌で顔面を叩く…。
このあたりはゴア表現になれていないとかなり苦痛かも…。
どうやら村人たちはこういう死に方が良い!我々はそうやってきた!な伝統で殺人するタイプの人でした。

これにカップル達がドン引きして次の日に帰るわ…となるのですが、なんとカップルの男のほうが先に帰ったと村人が言うではありませんか!
電話も繋がらないし女を置いて帰るなんて…

「あ!これホラ研ゼミででたところだ!!」とホラー映画好きなら間違いなくこの情報はフェイクだと分かるし男死んでるなってなるんですが、彼らは日々トリップしているのでホラー映画なんて見ていません。
もちろん村人の話を真に受けブチギレ!この時この女…終わったな…と皆さん思いましたよね。
結局一人で村人に送られて出ることに…。(もちろん死亡)

はよ村からでろやという気持ち

場面は代わり主人公メンバーへ。先程の儀式を目の当たりにしてもジョシュは論文を書くと決意しているよう。いやはよ村からでろや。
あ、そういえば俺もこの村書くことにしたわ~^^とまさかの同じテーマで被せる宣言をするクリス。
「ああ…なんだぁ?テメェ…?」とひたすら空気が悪くなるお二人。
なんやかんやで仕方ないかと同じテーマになることに。

ジョシュはこのあたりで村の教会にていろいろ村のことが書かれた教典?を見つけ写真を撮りたがるも村長からNG。ぐぬぬ…。いやはよ村からでろや!

Midsommar

ここで我らがマーク(岩井)は驚きの行動に出ます。
おしっこいくわと言い残し彼が向かった先は、いかにも神聖そうな切られた木。
そして彼はそこにお小水をふりかけるのです…

村にとって先祖を祀る大事な木だったようでブチ切れる村人、そして「しらなかったからしゃーないww」と開き直るアホ。

何やってんだお前


明らかになんかありそうな木だろうが!自分の小に枯れ木を復活させる栄養があると思ってんのか!!!

岩井「枯れ木に、尿」

澤部「やっぱ枯れ木には尿なんだよね~!流水じゃなくて尿のほうがインスタ映えるし新芽も生えるっ!なんつってねw」

怒涛の処刑

さあここからはどんどん退場していきます。
ご飯時にクリスの食べてるパイから陰毛らしきものが…あとクリスの飲み物だけなんか色が赤っぽい…。
そうです例の恋のテクニック的なやつですね。
実は少し前からクリスにアピールしている村の女の子がいて、ベッドの下にルーン仕込んだりとにかくその子がやったんだなとわかります。これはオワタ。

その時岩井のことを気にかけてる素振りを見せていた魔性の美女が岩井をどこかへ誘います。以降失踪。これはオワタね。

その夜ジョシュが教会に忍び込んで本を盗撮します。その時物音が!
なんだマークか…脅かすなy…
といったところでハンマーで殴られます。
頭蓋骨割れてるのが見えてるんですけど…。しかもいびきかいてるんですけど…脳に問題があるといびきをかくって言いますよね?オワオワですわ。
そういう暗に絶望する表現を仕込むのがこの映画の恐ろしいところ…。

Midsommar

ちなみにこのときマークだと思っていたのは、マークの皮を剥いでかぶっていた村人です。しかも顔だけでなく体もしっかりマークの皮を来ています。
さすがにおぞましすぎる演出…。悪魔のいけにえもびっくり…。
ここで冒頭の子どもたちのセリフ「バカの皮を剥ぐ」という伏線が回収されています。死者を冒涜するバカへの罰なんでしょうね。

直接的に死を見せずに察してしまうような演出の嵐なのでゴアになれていても、精神に来ますね…。

二人の行く道

ここからは走って行きます。
で皆いなくなったんですけど、本なくなった!お前やろ!と暗に責められたのであいつら逃げたのか…と不思議におもわない二人。

いやいや君たちどんな友達関係だったの?
と聞かずにはいられないぐらいには薄情ですね。

でここから謎の儀式がはじまり「メイクイーン」を決めるから参加しなよ、とダニーも参加することになります。なんだかお芋みたいですなハハハ!
調べてみるとメーデーのお祝いでパレードの主役の女の子のことみたいです。

Midsommar

いろいろあってメイクイーンになりました!
一方クリスはアプローチされてた娘っ子と性交渉して子種あげてくれや!と村人に頼まれます。
閉鎖的な村なので外部の血が必須なんですね。例の言い伝えの絵でも外部の人間という服装の伏線はあったので、ずっと同じようにして維持してるんですね。

変な煙吸わせれて前後不覚で事に及ぶクリス。
このシーンが非常に気持ち悪くて女の子の周りに全裸の年齢別の女性が立ってるんですね。
囲まれながら致すクリスですが、周りの女性も女の子の声に合わせて共鳴しているように叫びます。
彼らの常識的に感覚を共有するのが大事なようでそれはもう異質な空間で、人間の狂気の塊みたいなものでした。

そしてメイクイーンになってハイになっているダニーでしたが、変な声がする屋敷へ行き覗くと…

Midsommar

村の女とつながっている光景が!思わず逃げ出し大泣きします。
ここがPVでも印象的なシーンなのですが、彼女の感情にリンクするように周りを取り囲んだ女性たちが泣き出すんです。

Midsommar

もうね、意味不明。

なんで泣いてるかとかよくわからないし、そもそもなんだメイクイーンって?
でもここでダニーとクリスが完全に決別したような気がします。
同じように村人に囲まれているのに立場は全く逆で、クリスは周りが理解できない・恐怖を感じるのに対し、ダニーは身を任せ心の拠り所として彼らを受け入れているように思えます。

結末

クリスは正気を取り戻し逃げ出すのですが、その先にはカップルの男の死体が…。
異常な風体になっており背中を切り開かれて中身が飛び出ています。
これは北欧の処刑法らしくヴァイキングが実際にやっていたものだそう…。
(血のワシ)

クリスは捕まり体を動けなくする薬を飲ませられます。
連れてこられた先はダニーの目の前。
要は生贄に9人必要だったからペレが友人を招待したというのが真実だったよう。
カルト組織で生贄がない組織なんてホラー界に存在しませんからね。
当たり前の話です。僕も宗教の勧誘されたときは常に死を意識していますからね。

で連れてきた外部の人間とペレ含む村人達で9人なのですが、最後の一人を村人にするかクリスにするかの選択をダニーに委ねます。
もちろん選ばれたのはクリスでした。もうダニーは村の一員ですから。
ちなみに村人の死生観的に儀式で死ぬのは素晴らしいことなので誰一人悲しんでいません。

そして選ばれたクリスはクマの内蔵をくり抜いた毛皮に収納され、9人の生贄達は小屋でまとめて燃やされるのでした。

Midsommar

それをみたダニーは微笑みながら終劇。
この時点のダニーは幸せだったとかネットの意見で見ましたが明らかに壊れただけじゃ…。
村の一員になることで不安から開放される未来になりそうなのはなかなか皮肉だと思いました。
妹の自殺とこの村での自殺にはどのような違いがあるのか?
思想さえあれば自殺は良いのか?キリスト教的にはどういった捉え方をするのか非常に気になる作品でしたね。

感想・考察

Midsommar

考察

考察するとこ多すぎる上に神話とかいろいろ書き始めると令和の次の年号になっても書き終わらないので各自ネットの海で考察探してください
何でも与えられると思うな…掴み取れ…!

感想

ホラーのそうなるよな!そうだよな!をふんだんに取り入れたホラー好きからするとツボを押してくる映画でした。

大抵宗教とか信仰って現世からの開放とかそういう心の拠り所や信じるもの、心を補強するために活用しているのかなと思うのですが、この映画の自然信仰はもはや木を燃やすと灰になるレベルでこの世の常識みたいな感じで生活に組み込まれています。

宗教絡みのホラーってどこか「いやその考えはおかしい」とか「こんなのありえないし信仰者おかしいよ」ってはっきり自分(視聴者)たちの立場の意見があると思うんですよね。
だだこの映画は神話や古くの考えを取り入れているという設定なので、どこかで「ああ…仕方ないな」と受け入れる感情が芽生えるんですよね。
そこを否定すると今の自分達の世界も否定することに繋がるから。


昔はどこの国でも生贄とかはあったりしたわけですし、科学的・論理的でない行動はたくさんの人がしていたはず。この監督はそういう受け入れざるを得ないものとホラーを結びつけるのが上手だなと思いました。
でも村人にとっては日常だけど外部からの人間からすると倫理観超えた事させられてるし、ただの新興宗教なのかも…。

ヘレディタリー」 でも感じましたが正直ホラー映画好きとかじゃないと面白かった!と手放しで称賛されるタイプではなさそうな監督な気がします。
むしろなんだこれ…な映画だと思います。
なにはともあれ個人的にはホラー映画の抑えてほしいところを抑えてくれて、見た後も映画のことを考えさせてくれる良作映画でした。

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