ツッコミやすかったおすすめ映画

「CURED キュアード」ツッコミレビュー・ゾンビから回復してもそれは人間なのか

2020-03-22ゾンビ,5~7点,ホラー2020

THE CURED

日本公開日: 2020年3月20日
監督: デヴィッド・フレイン

すこ度(評価)

6/10

-ゾンビパニック収束後の世界を描いた社会派ゾンビ映画-

スポンサーリンク

あらすじ

https://www.youtube.com/watch?v=5taA7gMetL4

ゾンビウィルスのパンデミックが収束した後の世界を舞台に、ウィルスの感染から回復した人々が、ゾンビであった時の記憶や社会の圧力に苦悩する姿を描いた異色の近未来スリラー。人間を凶暴化させる新種の病原体「メイズ・ウイルス」のパンデミックが巻き起こったアイルランド。6年後、治療法が発見されたことで社会は秩序を取り戻し、感染から治癒した人々が「回復者」として社会復帰する。回復者の青年セナンは、義姉アビーのもとに身を寄せるが、社会では回復者を恐れる人々が抗議デモを行い、理不尽な差別を繰り返していく。やがて、そんな状況に不満を抱いた回復者たちのグループが、社会への報復テロを計画する。監督はアイルランドの新人デビッド・フレイン。出演は「JUNO ジュノ」のエレン・ペイジら。

https://eiga.com/movie/90970/

ネタバレなしレビュー

THE CURED
言えません

あらすじをみて分かるとおり普通のソンビパニック映画ではなく、ゾンビから回復して人間に戻った人達と普通の人間達の確執を描いた社会派映画です。
本国公開は2年ほど前と公開当時はゾンビ好きの間で話題になっていたのを思い出します。

ゾンビといえば襲われてパニックになったり感染に怯えたり常に気の抜けないシチュエーションですが、この映画は基本的にそういった場面があまりありません。
ゾンビものにありがちな「結局人間が一番怖かったんや…」的なものを主題にとらえて、最初から人間の怖さを見せつけてきます。

PVを見た感じ分かるかと思いますが基本的に鬱蒼とした暗い映画でさすがフランス映画といった感じ。
設定からしてもゾンビ騒動収束後にいろいろな立場の人たちが対立してどんどん救いのない方向に行ってしまうので、やるせない気持ちになるのが苦手な人にはおすすめできません。


逆に普通のゾンビ映画を見すぎて食傷気味の人は新鮮な視点からゾンビにまつわる世界を楽しめます。(似た設定は他の作品にもあるようです)

ゾンビから回復した人たちは明らかに迫害を受けていて、かつ記憶もしっかり残っているというエグい設定からの主人公がどのようにして感染したかと真相を辿っていくストーリーで謎が解き明かされて行くのは面白いです。


世界観を視聴者に理解させるために受け入れる側や反対する人、そして迫害を受けている主人公側の苦悩が映像にうつしだされており、人権問題のリアルな心苦しさが感じられると思います。
回復した人間達はゾンビからは襲われないという設定も普通の人達とは違うという面を強調しており、それがストーリーに絡んでくるので多用な視点から見てしまいますね。

後半からは主人公と一緒に社会復帰したコナーが人権を求め過激な行動に移っていくのですが、そこからのハラハラドキドキ展開はゾンビ映画の恐怖をしっかり抑えています。
ただちょっと評価しにくいのが設定はおもしろいけど結局そんな感じかという終盤のストーリー展開と、中途半端なゾンビ要素というか別になくてもよかったんじゃ?と思ってしまう部分があり高評価はつけませんでした。

とはいえキャストの演技もとてもレベルが高く主要登場人物が精神的に皆追い詰められる、その心の葛藤が突き刺さります。
ゾンビ映画としてホラー映画的な目線でみるより、人のトラウマや心の傷にまつわる人情映画とし見るのがいいと思います。

ネタバレありストーリー&ツッコミ

主要人物

キャストこんな人
セナン
サム・キーリー
主人公・業が深い
アビー
エレン・ペイジ 
主人公の兄の奥さん・主人公を引き取る
コナー
トム・ヴォーン=ローラー 
主人公と一緒に社会復帰・社会に恨みがある
リオンズ博士
ポーラ・マルコムソン 
感染者の研究者・いい人枠

大まかなストーリー

社会にもどったら嫌われたでござる

THE CURED

メイズウイルスという感染症によりゾンビ化した人々ですが、特効薬により回復し社会復帰するまで状況は改善しました。
とはいえ75%は回復(キュアードと呼ばれる)残りの25%は治らず(レジスタンス)という現状から、キュアードといえどまたゾンビ化するのではないか?、人を殺した事実は変わらないのに社会復帰させていいのか?などの懸念からキュアードに対する風当たりは悪いものでした。

主人公のセナンも元感染者のキュアード。同じくキュアードのコナーと共に施設から開放されます。
セナンは兄の奥さんのアビーが引き取ってくれるようですが、コナーは母親をゾンビ化したときに殺したと責められ父親に勘当されます。


この辺の描写がとても心に来るんですが、アビーも身内だから温情で引き取ったものの夫はゾンビパニックの時になくなりトラウマ。
しかも息子がいるので、キュアードのセナンを引き取ったせいで息子も良くない目で見られていくのです。
ちなみにセナンはゾンビになった時の記憶がはっきりせず苦労しています。

実は政府は治療できないレジスタンスを処分する方針にしているよう。
どうしようもないから正直しかたないみたいな風潮。
セナンは仕事として感染者研究所のリオンズ博士のもとで、治療が効かない女性感染者(レジスタンス)の研究の助手をします。
セナンはキュアードなので世話をしても襲われず、博士が新しい治療法を生み出し処分されないように努力しているのを複雑な心境で手伝っていきます。

コナーの暴走といやがらせ

コナーは軍人のレジスタンスに対する非人道的な行いや自分への風当たりにキレて、反キュアード絶対許さない連合を作ります。
このあたりからコナーのなにするか分からないやべーやつ感が凄まじくなります
例えるなら電車とかバスにいるじーっと睨んでくるやばめのおっさんみたいな感じ。

THE CURED

セナンも呼ばれるわけですがコナーは人を傷つけることはやらないといいつつ、コナーの指示どおりセナンは反対組織の家に放火。がっつり火炎瓶窓から投げ込んでました。
衝動的すぎる。

セナン自身、軍や反キュアードに不信感があったための行動ですがまさか人がいると思っていなかったようで、後日ニュースで死亡したと聞きコナーと決別。

THE CURED

このあたりでセナンは感染したときのことを思い出します。
「思い…出した!」
実はセナンは、実の兄でありアビーの夫であるその人を殺していたのでした。
話が重すぎる!つまりアビーは最愛の夫を殺した相手を引き取って生活の世話をしていたと…。
そしてセナンを感染者にしたのはコナーで襲う直前コナーが襲うように仕向けた動作をしていたのです。

アビーにそのことを告白できないまま記憶を思い出してメンタルがズタボロになったセナン。
あるときコナーが家にやってきます。
アビーに「貴方の夫を殺したキュアードでも許せる?」とセナンのいる前でカマをかけてきます。
なんという意地の悪さ。これは意地の悪さ検定1級ですわ。

アビーに受け入れられている様子を見て「お前はキュアードのことはどうでもいいのか?」とコナーにキレらるセナン。明らかな敵意にびくびくセナン。

罪の告白

THE CURED

その後アビーがコナーの組織の集会に乗り込んで襲われたり、セナンが反キュアードに襲われたりとにかく襲われの天丼をこなします。
ある時セナンがコナー組織の集会に行くとなんとそこにはリオンズ博士が
どうやらレジスタンスを救う、キュアード大事に!という思想に感化され協力しようとしてるよう。
これは地獄への門が開かれましたね…。
その集会は警察からの踏み込みで中止。

色々思うところがあったセナンは家に帰ったあとアビーに兄を殺したのは自分だと告白します。
「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?一緒にいられると思う!?」と当然ブチギレられ家を追い出されます。

家をでたセナンはコナーに呼び出されるも実は刑事を呼んでおりこれ以上の蛮行を止め逮捕してもらおうとしますが、なんとコナーは割れた瓶の先っぽで刑事を刺殺。一瞬のすきを突いてザックザクです。
銃もってる相手にヒットマンみたいな立ち回りをするのでした。
そして物語は結末に向けて動き出すのでした。

レジスタンス解放、結末へ

THE CURED

コナーの組織はリオンズ博士を仲間に引き込み計画を実行します。
その計画とは収容されているレジスタンス達を解き放ちパニックを起こすことでした。
施設に乗り込むキュアード達は博士を脅し牢屋の鍵をすべて解放します。
溢れ出るレジスタンス。

しかしある1つの牢のレジスタンスだけは落ち着いており動かなかった為博士がそこへ向かうと、想像通りその相手は博士が治療していたレジスタンスで彼女は新しい治療法が効きキュアードになっていたのです。
感激する博士と感謝するキュアードの彼女。と次の瞬間博士はレジスタンスに襲われ死亡…。

THE CURED

逃げたレジスタンスは街中に広がり軍も出動する事態へ。
アビーの息子がまだ外にいるということでセナンが救助に向かうものもコナーに襲われます。
しかし感染者と勘違いされ軍により射殺。


アビーの息子を助け家に戻るも家にいた感染者に息子が噛まれてしまいます
アビーは治せないなら…と殺そうとしますが、セナンがそれを止め息子を連れ政府の手に届かないところへ連れていきます。
アビーがテレビで彼らが逃げたのを確認してエンディング。

感想・考察

THE CURED

こういう重いテーマの映画はツッコむのがはばかられますね。
最愛の人を殺した相手に最愛の人を救われるとはなんとも皮肉な結末でした。
正直キュアードにいつかまたレジスタンスに戻るのではないかという恐怖心をもって迫害する気持ちはわからなくもないので、自分の立場のとり方が難しい映画です。

この映画では感染症で制御が効かないという要因でしたが現実にも似たような事はたくさんあると思います。
それこそ過失のない交通事故だったり戦争だったりでどうしようもない事象で、大切な人がいなくなってしまったときどれだけの人が拒否せず受け止める事ができるのか考えさせられました。

あとキュアードの立場は戦争に行った兵士と似てるなと。
兵士は自国の人には歓迎されますが、戦争が終わった後の敵国からすれば人を殺しといて普通の人間扱いはできないという点だったり、不可抗力とはいえ人を殺した事実にPTSDのような精神的な病に追い詰められたりする部分が一線を超えた人間に共通するところなのでしょうか。

映画のストーリーとしては記憶に絡めた葛藤があまりなかったです。
仮に記憶がなくても普通に同じような展開になっていたような…。
まあ記憶がなければアビーもセナンも真実を知らずに幸せだったのかもしれませんが。
受け止めて抑え込むのか、受け止めきれずに拒否するのか、はたまた両方の選択肢を選べるのが本当の人間性というものなのかもしれません。
自分でも何言ってるかわかりません。

セナンとコナーがまじってコナンって間違えて覚えちゃうぜバーロォ…。

スポンサーリンク

ゾンビ,5~7点,ホラー2020

Posted by muvikomi